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キャリアパスについて
多くの方から「キャリアパス」をどうやって作成すれば良いのかご相談を受けます。
ここではキャリアパスの考え方について簡単に触れておきます。
まずは、
- キャリアパスに関する要件
1. 職位・職責又は職務内容等に応じた任用要件を定めている
2. 職位・職責又は職務内容等に応じた賃金体系を定めている
3. 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
この部分を整理してみましょう。
職位・職責に応じた任用要件とは?
最初に言葉の意味を考えると分かりやすくなります。
職位とは簡単に言うと「組織における地位」となります。
職責とは「与えられた責任」とでも解釈しておけば良いです。
任用要件とは採用条件であったり昇格(昇給)条件といった感じです。
例えば、ある事業所には3つの職位があるとします。
部長、課長、一般など呼び名は何でもOKです。
この部長なり課長なりにはその職に就いたからには果たしてもらわなければならない職責(責任)を決めておきます。
そして、一般の人が課長に、課長が部長になるためにはどうすれば良いのかを決めます。
「経験年数が〇年以上で自己評価や査定が○○点以上」というように事業所オリジナルで問題ありません。
この部分がまさしく「任用要件」となります。
つまり、事業所内でランクを設け(職位)、それぞれの役割を定める(職責)。
そして、上位のランク(職位)に就くための条件(任用要件)を定める、というのが
「職位・職責又は職務内容等に応じた任用要件を定めている」
ということになります。
途中にも書きましたが、職位の呼び方に決まりはありません。
マネージャー、リーダー、管理職、アマチュア、上級、中級、初級など好きに決めて頂いて結構です。
職責についても特段の決まりはありません。
中級は通常業務に加え後輩の指導が行える、
上級は中級以下のチームを統率し現場の指導を中心になって行う、
と言うように現場で求められる(求めたい)責任を自由に決めて頂ければ結構です。
賃金体系について
こちらも難しく考える必要はありません。
上記した任用要件に沿って賃金体系を作ればOKです。
ただ、単に初級は〇〇円で上級は△△円です、という決め方ではなく、その職位における最低と最高額を定めて昇給額を幾らにする、という程度は決めておく必要があるでしょう。
初級の最低額が12万円で昇給幅が300円、最高額は12万9千円、というようにエクセルなどで一覧表を簡単に作る程度で構いません。
職位が初級の人でも入社したての人とそうでない人では賃金に差を付けることが望ましいと言えます。
どういう風に賃金の差を付けるのかも事業所ごとに考えて頂いて結構です。
定期に昇給を判定する仕組みを設けること
例えば、自己評価や目標管理シートの評点に基準を設け、1年ごとに基準をクリアできれば昇給する、という風に定めても良いです。
昇給幅は上記したように300円毎に設定しているなら、一つずつ(300円ずつ)給与のランクが上がっていく仕組みです。
こうした取り決めを書面をもって作成をします。
雛形はある?
当サイトも「処遇改善加算 雛形」などのキーワードで検索されていることが多くあります。
恐らく、殆どの方はあちこちの自治体のホームページを見て、それでも見つけられなかったのではないでしょうか?
少なくとも福岡県内の自治体においてはそれらの雛形は用意されていません。
私自身、日本全国の自治体を調べたことはありませんが、中には参考程度に雛形を掲載している自治体もあります。
では、なぜ運営規定のように雛形が用意されていないのでしょうか?
それは、ここまで読んで頂いた方はお気づきかもしれませんが、
「内容を自由に決めてよい」
からです。
事業所ごとに職位や職責の名称・数、または賃金そのものも異なる訳ですから逆に考えると雛形自体を用意することは難しいのかもしれません。
繰り返しになりますが、内容そのものは自由なわけですから書面で作成していれば、どんな表を使ってどんな名称の職位を設けても一向に問題ありません。
処遇改善加算の重要性
処遇改善加算を取得することの重要性は誰が見ても明らかです。
従業員に対する報酬が増えることもそうですが、事業所が有能な人材を確保するためにも整備する必要があると言えます。
人材が足りず運営に支障が出ている事業所も多く見られます。
処遇改善加算取得と並行して魅力ある賃金体制を整備することが人材確保の第一歩と言えるのではないでしょうか。
弊所では介護事業所の運営に精通した社会保険労務士をご紹介することも可能です。
お困りの方はお気軽にお問合せ下さい。